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「おら!捕まえたぞ! 」
黒パーカーがさきちゃんを羽交い絞めにする。
「知ってるそ、お前の父さん、刑務所にいるんだろ? それで前の街に居られなくなって逃げて来たんだ」
「そうそう!母さんが話してるの聞いた!犯罪者の娘だ! 」
見開かれた目ときつく締められた唇を沈みゆく夕日が過剰に照らしていた。
さきちゃん?そうなの?なぜ言い返さないの?
「俺もっとヤバいこと知ってる」
ダウンジャケットの子が尻馬に乗る様に声を上げた。
「こいつ、変態ビデオに出てんだよ! 」
「マジ?! 」
さきちゃんの顔色が変わったような気がした。
「兄ちゃんがさ、大人のサイト漁っている時ネットで見つけたんだ。『お前のクラスの奴じゃねぇ? 』って。こいつ、体操着でなんかエロいポーズしてたりさ、水着着てくねくねしてたり、ミニスカートはいてパンツ見せたりしてた!!マジうける!! 」
「ちがう!! 」
さきちゃんが叫んだ。
「ちがわねぇ!俺しっかり見たもん! 」
「ちがうっ!! ちがうっ!! 」
さきちゃんは暴れたけれど、黒パーカーは離さなかった。
「あああれだな、父親がつかまって母親がまともなとこで働けないから金なくて、そんでやったんじゃねぇの? 小学生でグラビアとかマジサイテー。キモいんだよ! 」
突然次々聞かされたことに僕は考えが追い付かなくて目を見開くしかなかった。
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