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突如始まった凶行にドン引きした他の三人はしばらく近づく事さえできなかったけれど、弱虫の僕がそう長くそれを維持している事など出来ず、息切れしてきた頃合いを見計らって仲間から引き離し、今度は僕に制裁を加えて来た。
上級生二人と、いつも僕をいじめている子の三人が怒声を上げながら拳を見舞って来る。敵う訳がない。それでも僕は何故か反撃をしていた。
三人相手に敵わないから、勝てそうな同級生を選んで掴みかかる。上級生が殴って来ても蹴って来ても、その子だけは離さず頭をぶつけてやる。目の前で火花が散ったけど繰り返す。額が火のように熱くて、口の中も酷い味だけど赦してなどやるものか!
目の前の相手が放してくれと泣き声を上げた頃、僕は5年生二人に引き剥がされて地面に押し付けられていた。
「いい加減にしろ! 」
「おい、こいつなんかヤバいぜ。今離れた方が良い」
「けどよ!舐められる訳に行かねぇだろ」
僕は必死で自分を押し付けている手に噛みついた。
「痛てっ!放せ!! 」
放してやるもんか!歯を通して強張った筋肉の感触とその奥の骨の歯ごたえを感じる。
「やめろやめろやめろ!わかった!わかったから!負けで良いから!放せ! 」
放すもんか!お前達はさきちゃんを泣かしたんだ!そんな奴の手なんて嚙みちぎってやる!
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