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「ジュン、出かけるの? 仕事?」
上着の上からコートを羽織る黄道に
圭一郎が聞く。
「ああ。休みたい職員の代わりだ。家族のある者は実家に帰りたいだろう。俺は独り身だからな。こういう時にしか変わってやれん」
自分を見ている一同に向けて
「君ら、ここで新年を迎えるつもりならリアを手伝え。ひとりじゃなにかと大変だ」
テラスの大窓から出ようとする。
しかし
なにかを思い出したように足を止めると
「みんな、いい年越しをなーー」
傍に立っている圭一郎の頭をひと撫でし
「…来年もよろしく」
短く言い残し
出ていった。
《終》
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