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Happy holidays to you too! ①
「…20枚だろ?知ってるよ。…あ、そう。で、あっちの特別なやつはどうなんだよ。今回はそれがメインなんだからな…よし、だったらいい。…あ、アンちゃん?元気?うんうん…ありがとう。明後日には行くからさ。何か欲しいものある?…OKじゃ、また連絡するから」
あーよかった…。
乙幡はここ1、2ヶ月ずっと心配していたことがある。
パン祭りのうーちゃん皿プレゼント企画は、今年25周年ということでいつもより豪華賞品であった。それをネットを見て知った時から、和真に連絡を取りパンを食べろと指示を出し続けていた。
うーちゃん皿だけであれば、和真はきっと一皿はゲット出来るだろう。ポイントシール20枚で一皿は貰えるという。
だが、今回は25周年記念として『うーちゃんエコバッグ』のプレゼントがあるという。しかも抽選でゲットするものとは違い、ポイントで必ず貰えるものだった。
乙幡はどうしてもそっちのエコバッグも欲しかった。ゲットして悠に渡したい。悠の喜ぶ顔が見たい。
日本にいたらパンを食べまくっていただろう。だけど、乙幡が今いるのはアメリカだ。自分がうーちゃん皿に参加出来ないのが悔しい。
ここはやはり和真に頼むしかなかった。しかし、和真にお願いしてエコバッグをゲットするように伝えるも、かなりのポイントが必要だから無理だと言われていた。
うーちゃん皿一枚でポイントシール20枚、エコバッグは更にその倍の40枚のポイントシールが必要だった。合わせて60枚、かなりの量だ。
「ひとりでそんなにパンばっかり食べられるわけないだろ!」と、和真に電話で言われていたが、乙幡持ち前のしつこさで「いいから何としても皿とエコバッグの両方ゲットしろ」と何度も伝えていた。
そこに救世主が現れた。
何度もしつこく電話をしていた時、女性の声が和真の電話口から漏れて聞こえてくるようになった。しかも、和真は最近ちょくちょく居留守を使い電話に出ない時もある。
『女、居留守』と、違和感を感じた乙幡が問いただすと、最近彼女が出来たと、渋々和真が言い出した。
その彼女が救世主だった。
乙幡が機転をきかせて、和真経由で彼女に事情を説明し、どうにか『うーちゃんグッズ』を手に入れたいと伝えたところ、快く引き受けてくれたのだった。
それからというもの、和真に電話をする時には彼女とも会話をするようになり、今ではすっかり仲良くなっていた。
和真の彼女は高原杏。イベントのフライヤーデザインなどを手掛けている。和真が育てている若手デザイナーだそうだ。
ここ数ヶ月は、和真の家に半同棲して2人でパンを食べまくってくれていた。おかげでうーちゃん皿とエコバッグの両方をゲット出来たと連絡が先程あった。
明後日から、乙幡と悠は日本に行くことになっている。年末に悠が日本で仕事がひとつ入ったからだ。仕事は一日で終わるので、そのまま年末年始は日本で過ごそうということになった。
悠は日本への里帰りのような気持ちでいるようだが、乙幡は完全に休みに入りバケーションなのでウキウキである。
滞在先は東京のホテルでスイートを予約済である。お正月は一泊で京都に行くなど、綿密な計画を立てていた。
仕事もなく、誰にも邪魔されず、悠と思いっきり過ごすことに全力投球である。
東京では、うーちゃんを受け取り、ついでに和真の彼女と会っておくことにした。
和真と電話が終わると、悠がキッチンから乙幡を呼ぶ声が聞こえてきた。
「ゆーう、どした?」
ご機嫌で乙幡は悠の後ろに回り、抱きしめて首筋にキスをした。エプロンをしているので、料理の途中だったようだ。
「今ね、瀬戸さんから連絡があったんだけど、日本での仕事がもう一つ入りそうなんだよね」
「あれ?12月30日じゃなかった?仕事って」
「それがさ、12月31日に日本で大きなイベントがあるんだって。あーっエド知ってるかな?アニメとか漫画とか、ゲームなんかを全部まとめたイベントらしいんだ。そこに瀬戸さんチームが入るんだけど、以前僕が作ったデザインを、今回のイベントでも使いたいって言われて、急遽12月31日の午前中も仕事が入りそうなんだ」
悠の日本での仕事は、12月30日だけということだったが、今の話ではその次の日、大晦日も午前中だけ仕事は入るのだろう。
仕方ない、こればっかりは本当に仕方がない。悠が何日もどこかに行くわけではないのだから譲ろう。バケーションではあり、時間はたくさんあるからまぁいいだろう。
「そっか、じゃあ、京都はまた今度にしよう。今回は東京だけ滞在だな」
「ごめんね、エド。楽しみにしてたのに。今度埋め合わせするから…」
「いいよ、俺は悠がいれば何だっていいんだし、東京でイチャイチャすればいいし。埋め合わせって言うんなら、今から埋め合わせしてもらうし!」
エプロン姿の悠を、そのまま抱きかかえてベッドルームに運んだ。埋め合わせは、今から先に済ませてもらうことにする。
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