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「あなたは私のことを愛してなんかいなかったでしょうっ?!」
「澪!・・・・・・すまん・・・」
動揺したように理久が言うが、その言葉を遮るようにして澪が聞く。
「何に対して謝ってるの?」
「・・・・・・・・・お前を、愛してなかったこと」
すまなかった、と頭を下げる理久を見下ろす澪。その目には何の感情もなかった。
「・・・・・・私は、愛してたのに・・・っ!!好きで好きで、大好きだったのに!」
思いが、澪の口からこぼれ出す。
愛してくれなかった恨み。
優しく接してくれなかった怒り。
気づいてくれなかった悲しみ。
それによる、殺意。
すべての感情が、澪からあふれて、理久を責める言葉になった。
「なんで、愛してくれなかったの・・・・・・っ」
「澪、」
「嫌っ、馴れ馴れしく呼ばないでっ!」
伸ばされる手を払い除ける。
涙で潤み、霞む視界の中で、2人の下を通る車の光が明るくぼやけていた。
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