クリスマスの愛

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「来て」 理久は澪に近づいた。 彼女の手をそっと取り、包み込む。 澪が口を開く。 「―――ハナズオウの花言葉を知ってる?」 「・・・・・・知らない」 「裏切りのもたらす死」 澪がぐいっ、と手を引き理久を抱き寄せる。澪と理久、2つのネックレスを片手で弄る。 「私達みたいで、素敵ね」 「澪っ!」 意味を理解した理久が、微笑を浮かべる澪から離れようとする。 「っ、くそっ、ネックレスが・・・・・・っ!」 しかし絡み合ったネックレスが、2人を繋ぎ止めていて、距離が開かない。 「一緒に、死んでくれるわよね」 悪魔のようなささやき声が、裏切ったのだから、と理久を詰る。 「みおっ・・・・・・!」 懇願するように、理久が叫ぶ。 「――死んでしまえ」 澪は呟き、歩道橋の上から理久を抱えて身を投げた。 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 「理久・・・愛してる」 理久の絶叫と澪の囁きは落ちていき、車にはねられた。
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