クリスマスの愛

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体が落下し、はねられて地面に叩きつけられるまでのあいだ、理久は青い部屋にいた。 澪には言っていなかったことがある。 彼女を愛していなかった理由―――。 理久には、愛という感情が欠けていた。 愛を受けたことがなく、愛を知ることもなく、愛を与えることもなかった。 澪に向かって愛していると言いながらも、心に空いた穴に偽物の感情を詰め込んでいるだけだった。 愛せないのに、彼女といたって悲しませてしまうだけだろうから、別れた。 彼女を悲しませたくなかった。 彼女を泣かせたくなかった。 彼女に笑っていてほしかった。 彼女には幸せになってほしかった。 理久は、澪を――愛していた、のかもしれない。 それはもう、二度と分からないけれど。 そうして理久は死んだ。
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