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澪と理久は、ショッピングモールを出て、イルミネーションを見に歩き出した。他愛ない話をしながら、どちらともなく繋がれた手に力を込める。
歩道橋の上を歩きながら澪は言った。
「こんな高いやつ・・・・・・いいんですか?」
「全然。おそろいにしたかったし」
2人の首にかかっているのはハナズオウの形をしたネックレスだ。理久に買ってもらったネックレスに触れ、澪は微笑む。理久が聞いた。
「気に入った?」
「ええ。・・・覚えてくれてたんだ」
突然、澪が手を振りほどき理久に背を向ける。彼は眉をひそめた。
「澪・・・・・・?」
「私が、クリスマスにおそろいのネックレスとかほしいな、って言ったの、覚えてくれてたんだね」
澪は振り返って言った。その顔には作って貼り付けたような薄い微笑み、そしてその目には――大粒の涙が浮かんでいる。
「ねえ。あなたは、私のことを愛してくれていた?」
「おいっ・・・・・・!」
「答えてよっ!」
理久が伸ばす手から逃げるように、澪は駆け出す。
歩道橋の真ん中辺りまで戻り、涙を流しながら叫ぶ。
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