第六章 リコの想い

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第六章 リコの想い

 朝、母の呼ぶ声が聞こえた。  何もやる気が出なかった。  昔は母と姉と仲が悪かった。  仲良くなったのはソラが間に入ってくれたから。  ソラとは恋人にはなれない。  ヒロインになれる子は生まれた時から決まっている。  私みたいに生まれた時からずっと木草の役をしてる私には縁のない話。  ユアならお似合いのカップルだ。  蒼井宇宙。  彼が転校してきた時、運命を感じた。  リコはすぐに気がついたが、ソラは気が付かなかった。  リコは敢えてその話をしなかった。  思い出してくれるのを待っていた。    ソラの母親が亡くなった時は、ソラを慰めた。  私も母親を亡くしているから気持ちは良く分かる。  リコの胸の中で泣くソラ。    ソラの事を考えると心臓が破裂しそうなくらい、ドキドキして苦しくて……。  ソラに会うと、泣きそうになって、でも笑顔でいれる。  それも今日でおしまい。  リコは泣きながら一枚一枚思い出の写真を消していった。
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