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その転校生は突然来た。
名前は久我 泰誠。理事長の甥である。
俺の幼馴染の彩宮 手鞠曰く王道転校生と言って生徒会、風紀委員会を虜にしていく魔性の男らしい。とここで気になった方がいるだろう。俺の幼馴染の彩宮手鞠は風紀副委員長である彩宮神楽の妹だ。だから神楽先輩とは学校に入る前からの知り合いだ。といっても会ったのは2回だけだしまぁほぼ初対面みたいなものだ。
まぁ手鞠の話はここまでにしておこう。
で、その手鞠の言う魔性の男もとい転校生の久我泰誠はある意味魔性の男だった。
手始めに生徒会の会長以外の全員を落とした。
それを死にそうな顔をしている生徒会長に言われた時はホントに心からは?って言葉が出たくらいだ。
生徒会長曰く転校生は親衛隊持ちの生徒もバンバン落としているらしい。
ふとなんで生徒会長は落ちなかったのか気になったから本人に聞いてみたところ、
「あんな気持ち悪いぶりっ子好きになるわけないだろうッ!」
とその時の会長はこれまでにないくらいゾッとした顔をして答えたので俺は本当にご愁傷さまです…と乾いた笑いで答えることしかできなかった。
そして今学校の支配者の生徒会長と共に風紀室で書類処理をしていた。
「こんな時でさえ委員長は来ないのかよ…」
「元々彼奴にマトモな感性なんか求めていない」
「2人ともお疲れ様。これ珈琲です」
「神楽先輩あざっす」
「神楽、ありがとう」
神楽先輩が淹れたコーヒーを飲みながら目の前にある器物破損の報告書を確認する。
報告書に書いてある文をまとめると久我は親衛隊に文句を言われたのに腹立ってものに当たったらしい。
お前は小学生か…
「はぁ久我くんが転校してきてから急激に強姦や暴力事件も増えちゃったし…主に久我くんのせいだけど」
「あの問題児はどうしたらいいんだ」
「それよりも凛雨はまず生徒会どうにかしないと」
「ゔっまぁそれもそうか…」
「そうっすね、まぁどちらもどうにかしなきゃっすけど…あとは…新勧とかどうするんすか」
「「あっ」」
「忘れてたんすね…」
新歓とは新入生歓迎会の略で文字通り新入生を歓迎する親睦会みたいなものだ。
例年通りで行けば食事会になるが…
「今年は食事会じゃない方がいいかもね」
「そうだな。この状況下で食事会なんてしたらどうなる事か」
「まぁ目に見えてるけどね…。でもどうする?それ以外の何か親睦になるものなんてある?」
「…かくれんぼなんでどうすかね」
「「かくれんぼ…?」」
「知らないんすか?」
2人はそう俺が言うと頷いた。
嘘だろ…。まぁお坊ちゃんだもんな知らないか
「かくれんぼっていうのはっすね。鬼が目をふさいでいる間に子が隠れ、後に鬼がそれを見つけだすというゲームっすよ。まぁそれだけだと味気ないっすかね?」
「面白そうだけどでもなんかそれだとゲームに参加しない生徒もいるかもしれないよ」
神楽先輩の言う通りだ。かくれんぼというゲームは隠れている人は暇なゲームだ。
だから飽きてゲームにならない可能性もある。
「ならこういうのはどうっすか?水鉄砲かくれんぼゲーム」
「「水鉄砲かくれんぼゲーム…?」」
東堂先輩、神楽先輩の2人はさっきと同じように頭にはてなマークを浮かべた。
そうして俺が説明をしようと口を開けた瞬間、
「なんか面白そうな話してんなァ」
そこには愉快犯でお馴染みの我らが委員長、八雲百鬼がそこに立っていた。軽くホラーだと思う。
「はぁ…委員長いつからいたんすか」
「ん?お前らが俺の悪口を言い始めたときからだけど?」
あんたホントに神出鬼没だな…
てかやっぱり最初の方からいたんじゃねぇかッ!
「で、その水鉄砲かくれんぼゲームってのはなんなんだァ?」
「簡単っすよ」
───この水鉄砲かくれんぼゲームは、かくれんぼというゲームに加えて隠れる人も楽しめるゲームだ。隠れてる人は隠れている人同士で戦うことが出来る。水鉄砲を当てられた逃げる子は隠れることが出来ない何故なら当たったら警報音が鳴って鬼に居場所がバレてしまうからだ。そうやって隠れる人は周りの隠れる人に水鉄砲を当てながら自分が当たらないように避けて鬼は隠れている人を警報音を頼りに探す。
「まぁこれは俺がさっき思いついたゲームなんすけどね」
俺はそう言って3人の方を見ると
3人は目を丸くしてそれからニコニコと笑って、
「面白そうだねこれでいってみようか」
「あぁ俺も賛成だ。それだったらどちらの立場であっても楽しめるしいい親睦にもなる」
「面白そうじゃねぇかァ俺も賛成だ」
それぞれ反応を見せながらも俺の意見に賛成をしてくれたようだ。
「じゃあそれで行くか。俺が資料を作成する」
「じゃあ俺は風紀の配備と物品の確認でもするよ」
「おい、せっちゃんちょっとこっち来い」
「だからせっちゃん言うなって!…って何で引き摺るんだよ!」
俺は委員長に引き摺られて風紀室にある執行室の方に連れていかれた
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