いつもの保健室

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いつもの保健室

 いつもと変わりのない放課後だった。  静かな廊下に、四角いオレンジ色の光が落ちている。  きっと外から見れば校舎そのものがオレンジに染められているんだろうなと思いながら、わたしは保健室のドアをノックした。  返事も待たずドアを開けながら、「失礼します」と義務的に口にする。  この時間、保健室の先生はいつも職員室に行っているから不在なんだ。  何度も来ているから覚えてしまった。  静まり返った保健室。  そのベッドの一つに、目隠しのカーテンが閉められていた。  真っ白なカーテンは夕日の色が映える。  綺麗なオレンジに染められたカーテンにそっと触れて静かに開いた。  そのベッドに横になっているのは男子生徒。  黒髪に、透き通るような白い肌。  今は閉じられている目は焦茶色をしている。  幼馴染の新は中学の終わり頃からよく貧血で倒れるようになった。  病気というか、精神的なものらしいんだけど……それは高校生になっても変わらなくて、よくこんな風に保健室のお世話になっている。  幼馴染で家も近いわたしが、こうして保健室に迎えに来て一緒に帰るのが日常茶飯事になってしまうくらいに。 「……新?」  小さく声をかけると、丁度起きたところなのかすぐにまぶたを上げる新。 「ほのか……」
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