特別に生まれ、特別に朽ちる

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 ーー今日は特別な日だ。  人は生まれた瞬間、祝福される。もちろん全員がそうでは無いが、大抵の場合は誕生を喜ばれ、その日が、その人にとって記念日になる。  そうして両親に期待されながら成長し、理想的な人になり、順当な道を歩む。外れなければ身近な大人に叱咤されることもなく、豊かな人生を送れる。そうすれば幸福で、それが、この世に生まれた理由だと言わんばかりに、期待に答えて成長していく。  それが人生の成功者なのだ。  ーー今日は特別な日だ。  しかし、その反面、それが出来ない人も少なからずいる。  期待に答えられず、身近な大人に落胆され、劣等性のレッテルを張られ、人にかける言葉に相応しくない暴言を容赦なく浴びせられる。道を歩めない人間は人間では無いと言わんばかりに、期待に答えられない者は憂さ晴らしにされる。少しでも抵抗すれば、数倍になって返ってくる。彼らにとってのサンドバックにやられるのだから、気に食わないのは当然。反撃するなど言語道断なのだ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!