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とあるビルの屋上に、天使と悪魔が鎮座して
いる。
日時は、十二月二十四日。時刻は午後七時を
回った所だ。
柵を飛び越え下界を見下ろせば、クリスマスを
目前に控えた街が視界一杯に広がる。
「よいしょっ、と。おー、良い眺めだよ。悪魔も
見なよ。」
暇を持て余した子供を思わせる造作で狭い縁に
腰掛けた天使は、上機嫌で両足をブラブラさせ
悪魔を手招きした。
こくりと頷いた悪魔は、興味無さげに視線を彷徨
わせている。この季節特有の、テンプレートな
景色は見飽きたと言いたげに。
「そうだ、悪魔。僕と賭けをしない?」
「…あ?賭けだと?」
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