天使と悪魔

1/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
とあるビルの屋上に、天使と悪魔が鎮座して いる。 日時は、十二月二十四日。時刻は午後七時を 回った所だ。 柵を飛び越え下界を見下ろせば、クリスマスを 目前に控えた街が視界一杯に広がる。 「よいしょっ、と。おー、良い眺めだよ。悪魔も 見なよ。」 暇を持て余した子供を思わせる造作で狭い縁に 腰掛けた天使は、上機嫌で両足をブラブラさせ 悪魔を手招きした。 こくりと頷いた悪魔は、興味無さげに視線を彷徨 わせている。この季節特有の、テンプレートな 景色は見飽きたと言いたげに。 「そうだ、悪魔。僕と賭けをしない?」 「…あ?賭けだと?」 
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!