3.恋をしている少女の襲来

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「でも、本当にそれでいいの? 幻の彼に優しくされるだけで。口では諦めたって言っているけれど、心の中では本物の彼とちょっとした思い出ぐらいは欲しいと思っているんじゃないの? 相性ぐらいは確認してからでも遅くはないわよ。」 リェフは珍しいぐらいに優しい口調でそう言った。 ムメは大丈夫かなと思ったが黙っていることにした。 「本当は思い出くらい欲しいです。でも、私、彼の何時何処で生まれたのかなんて、全然知りません。」 依頼人のディエリーは手を握り締めてそう言った。 すると、リェフはウィンクをして、 「大丈夫よ。そういう情報抜きで相性を占い方法もあるから。」 というと立ち上がると、水晶を持ってきて机の上に置いた。 そして、「暫く静かにしていてね。」と言うと、リェフは水晶をじっと見つめ始めた。その時の彼女は水晶を通じて、ここではない遠いどこかを見ているようで、ムメとしては少し怖かった。 どれぐらい時間が経っただろうか。 急にリェフが水晶から目を逸らすと、ふっと息を吐いた。 「あ、あのどうだったでしょうか。」 おっかなびっくり。聞きたいけれど聞きたくない。そんな様子でディエリーは、魔女に質問をした。 「ううん。確かに彼に女性として愛されるのは難しい感じね。でも、向こうはあなたに優しい気持ちを向けているわよ。これは、遠い故郷、そして妹かな。その銀髪の男に妹っている?」 「はい。仲のいい妹がいて、今は離れているとか。」 依頼人の少女は目を丸くして言った。 「あなたを見ているとその妹を思い出すのね。きちんと好意を示せば、ちょっとしたデートぐらいは付き合ってくれそうだけれど。」 「ちょっとしたデートですか。でも、彼の前にいると緊張してしまって。」 ディエリーは少し顔を赤くして言った。 「だったら、夢の中で幻の彼を登場させてあげるからそれで慣れるといいわ。」 リェフが酷く優しく話しかけて、依頼人の少女は暫く考えた後に頷いたのだった。
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