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「わかって頂けますか。」
ディエリーはソファを立ち上がると、ずんずんムメに近寄って手を握ってそう言った。その眼にはかすかに涙が浮かんでいて、ムメは猛烈に慌てた。
「わ、わかります。わかりますとも。そもそも好きな人に話しかけるのってすっごいハードルが高いですよね。軽くウザがられた時のことを考えるだけで心折れるっていうか…。」
「本当にそうなんです。おまけに彼はよく綺麗な女の人たちに囲まれているんですよ。そこを押しのけて自分をアピールするなんてとてもとても…。」
「うう、それはハードル高すぎですよ。私だったらアピールしようとも思えないかもです。」
(おお、こんなに共感し合えたことなんて、私の人生で初めてなんじゃ? )
ムメは心の中でちょっと感動していた。
「どうして? どんどん自分をアピールすればいいじゃない。というか、男なんて声を掛けられたら喜ぶ生き物なんじゃないの? 」
リェフは首を傾げて不思議そうに言った。
「ごめんなさい。師匠には分からない世界の話なので少し黙っていて下さい。」ムメは無表情でそういった。依頼人の女の子も苦笑いしている。
か、格差、格差がえぐい。これが生粋のモテ女というものか。きっと本当に小さい頃から男の人に好かれまくってきたんだろうなとムメは思った。
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