63人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
「し、し、し、師匠! 全部、私の占いが悪かったです! もう一生お客様に優しくしなくていいから、元気になって下さい! 」ムメはテンパりながらもそう叫んだ。
「うるさいわね。そんなに心配しなくても平気よ。ただの風邪なんだから。」
リェフはそういうと横になっていたベッドの上で寝転んで壁の方を向いた。
ちなみに、リェフが酔っ払って服を半分ぐらい脱いで、そのまま布団も掛けずに寝てしまったのが風邪を引いた原因だった。
でも、彼女は大げさに心配してくれている弟子に事実をいうのは気まずいのと自分のイメージを崩したくないので黙っていた。
「しょ、食欲はあります? なにか作ってきましょうか? 」
「そうね。じゃあ、胃に優しそうなものをお願い。」
「わ、わかりました! 」
そういうと、ムメは慌てて下の階のキッチンに足を運んだのだった。
そんな彼女の足音を聞きながら、リェフは呟いた。
「そういえば、料理できるのかしら、あの子。」
普段はリェフが魔法で料理が作っていたので、彼女はムメの料理の腕前を知らなかった。なので、いかにも不器用そうなムメにとんでもない失敗作の料理をだされても、黙って食べようとリェフは心の中で決意をした。
そういえば、人の作ってくれた料理を食べるなんて何百年ぶりだろうと思いながら、リェフは眠りに落ちて行った。
最初のコメントを投稿しよう!