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5.解呪
「クソ寒い! 」そうスタールは叫んだ。
それはそうだろう。
むしろ、寒さを感じない方がおかしい。
今は真冬で彼は屋敷にほど近い場所にある湖の中に浸かっているからだ。
(ちょっと可哀そうだな。風邪を引かなきゃいいけれど。)
ムメはスタールが湖から上がってくるのを待ちながら思った。
そもそもどうしてこうなったかを説明するには、彼女が植物と話し終えて屋敷に帰るところまで話を戻さないといけない。
ムメが屋敷に戻ると二人はリビングでぐったりしていた。
「本当にしつこい呪いだわ。一応、これ以上悪い状態になるのは食い止めたけれど。あなた、ひどい恨みを買うような真似でもしたの? 」そうリェフはげんなりした表情をしながら言った。
「そんなことしていない! ただ、困っている子供を助けたら、そいつに惚れられたんだ。そうしたら、親が昔魔法使いに酷い目に遭わされた奴らしくてな。」
そこで、スタールは大きなため息を履いてから話を続けた。
「うちの子供があんな碌でもない連中に惚れるわけない。いかがわしい術でも使ったに決まっている。お前にはたっぷりと後悔させてやるだとさ。」
そうして暴走した親が大金を支払って、ある悪名高い魔女に依頼して、その結果呪われてしまったのだと彼は説明した。
「疑ってごめんなさい。あなたは何も悪くないわ。早く呪いを解く方法を見つけないと。」
リェフは頭痛がするというような表情でそう言って、スタールは黙ってその言葉を受け入れた。
そんな暗い雰囲気の中、ムメはおずおずと、
「あの。深刻な雰囲気になっている所、申し訳ありませんが解呪の方法が見つかりました。」と言った。
すると、この兄妹のように見える師弟は、揃って身を乗り出して話を聞き出そうとしたのだった。
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