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そう、ムメは陰キャでコミュ障だった。
まだ優しそうだったり、大人しそうだったりする女の人相手だったらマシだが、男の人やイケイケの女の人相手だと固まってしまう。
そして、どうにかこうにか会話してもぎこちなくなって、相手との話が終わるとどっとした疲労感と開放感を覚える…
そういうタイプの女の子だ。
「とにかく今日の夜は自分の願っていたことを素直に望みなさい。」
占い師の先生は繰り返した。
「今日の夜ですか…。」
ムメはこの占い師さん、当たらないんじゃないの? とちょっと思った。
だって、今日はこれから家に帰って眠るだけだ。
誰かと遊ぶ予定なんて全然ない。
家に帰っても一人だ。
「そう! 縁があって知り合ったんだから、あなたには幸せになって欲しいのよ! 」占い師の女性はそうはっきり言った。
ムメはちょっと嬉しく思いながらも、どうせ他のお客さんにも言っているリップサービスだろうなと思った。
その晩、奇妙な夢を見るまでは。
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