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そして、その解呪の方法が真冬の山奥の湖に7日間毎日1時間浸かった後、強い力を持った魔女に水に属する浄化の呪文を丸1日掛けてもらうというものだったわけだ。
「その師匠、大丈夫そうですか? 」
ムメは恐る恐る聞きながら内心ではこんなことを思っていた。
(もし、師匠が口先だけで大して力のない魔女だったらどうしよう。今までそんな大きな魔法を使った所とか、見たことがないし。)
そんなムメの不安を一蹴するようにリェフは、
「私の魔力だったら一日中浄化の術を掛けるぐらいわけないわ。それじゃあ、これから7日間掛けてこの子の解呪を開始するとしましょう。」
と言ったのだった。
こうして、スタールは真冬の寒い中、湖に浸かっているというわけである。
「うーん。見ているだけで私も寒くなってくる。絶対にこんな目に遭いたくない。」湖を眺めながらムメはしみじみと呟いた。
そして、彼女がふと時計を見ると、スタールが湖に浸かってから1時間が過ぎていたことを知った。
「スタール! もう時間が経ったから上がってきて! 」
ムメは頑張って大きな声をあげて、彼に声を話しかけた。
この湖の広さは結構なものだし、体を浸かるほど深さのある場所となれば、それなりに奥の方に行かなくてはいけないのだ。
すると、その声が聞こえたらしくスタールがザバザバと波音を立てながら、岸辺を目指して来た。
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