1.占い師の予言

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「起きなさい。」 誰だろう? この声とムメは不思議に思った。 彼女は占い師さんと話したことで疲れていたのか、家に帰るなり寝てしまっていた。そう時刻はすっかり夜なのである。 「起きなさい。」 「ううん。良い声。私も百年あれば、色っぽいお姉さんに。」 ムメはごにょごにょと呟く。 「いい加減。起きなさい! 」 大声で怒鳴られてムメは飛び起きた。 目を開くとそこはどこまでもピンクっぽい空間が広がっていた。 そして、、目の前にはやたら美しい女の人がふわふわと空を浮いていた。 と言っても、その美しさは守ってあげたくなるようなものではなく、女王陛下のように周りを威圧するような凄みのあるものだった。 「まったくこんな仕打ちを受けたのは初めてよ。私に声を掛けられたのに、反応しないなんて…。」 ふう、とその女の人はため息を吐いた。 その仕草は色っぽく女優のように様になっていた。 「ご、ごめんなさい。あ、あなたは? 」 自分が悪いと思ってなくても他人に責められたら、反射的に謝ってしまうのが陰キャという生き物である。 「私は魔女よ。ここはあなたと私の夢が混ざった場所。」 「夢が混ざった場所…」 ムメがぼうっと繰り返すと、魔女にニッコリと微笑み掛けられた。 なんだかお金が払いたくなるような煌びやかな笑顔に彼女は吸い込まれそうになった。
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