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2.異世界での毎日
「それでここの生活はどうかしら? 」
「ふふふ。最高です。」
私は膝の上にいる猫とウサギの中間のような生き物をひたすら撫でながら答えた。ああ、ふわふわで温かい。幸せ。
「幾ら人と関わりたがらない根暗って言っても、村まで片道3時間の同世代の男や女がまるでいない所で、屋敷に引きこもって魔術の勉強と動物と植物の世話に明け暮れるなんて少しは嫌がると思ったけれど。」
魔女はマジマジと貴重な生き物を見るまなざしでムメを見つめる。
「嫌がるなんてとんでもないです! リェフさんは本物の陰キャのコミュ障というものを理解していない! 」
ムメは大きな声で叫んだ!
ちなみに、リェフというのは魔女の名前だ。
「いいですか! 同世代の男の人や女の人に囲まれたら、その場では必死に対応するけれど、後で疲れ果てて倒れるのが陰キャのコミュ障というものなのです! 」
「それって、自慢できることなのかしら? 」
リェフの呆れたような視線がムメに刺さる。
「自慢できないです。」なんとかムメは絞り出すように言った。
それから、彼女はもしかしたらと思って魔女に聞いた。
「ひょ、ひょっとして…。前にいた弟子の方は嫌がったんですか? 」
「まあね。これがすごいお転婆で…」
リェフはその美しい顔を歪めた。
この人を振り回すとは中々すごい弟子だったのではとムメは思った。
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