2.異世界での毎日

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「そんなことより、ちょっと表の植物たちに水をあげてきてくれない? それから、魔女の占いの授業をするから。確か、占いが好きだったわよね? 」 「は、はい。好きです。行ってきます。」 あの魔女であるリェフと話すのは大分慣れたがそれでも消耗する。 それに比べて、植物はいい。 なんとなく癒されている気がする。 ムメはそう思った。 青に赤に虹色。様々な色の花を咲かせている植物に少しづつ水を遣る。 つやつやしている緑がなんとなく嬉しくて、へらへらと微笑んでしまう。 すると、するするとツタが腕に巻き付いてきた。 「ああ、美味しい。もっと水をおくれ。のどが渇いていたんだ。」 「あ、あの。あなたは私がお世話している…。」 どこからどう考えても、目の前から聞こえてくる声に、ムメは半分パニックになりながら話しかけた。 「ああ、君が世話をしてくれている植物さ。」 「しゃ、喋る植物…。」 ムメは思わず呻くように言った。 まさか、植物に話しかけられる日が来るとは思っていなかった。 「長く生きている植物は誰でもしゃべるんだがね。こちらに馴染めそうかい?」 「は、はい。なんだかここは楽に息ができて…。」 「そうかい。それじゃあ、リェフと縁を切らないでやってくれ。あの子は寂しがりやだから。」 寂しがりや。 その言葉にムメはぽかんと口を開けた。 (そんな印象、全然ない。一人で悠々自適に生きていけそうだ。) そう彼女は思った。 「ムメー。いつまで植物の世話をしているのー。」 遠くからリェフの声がして、 「わ、私、もう行かなきゃ!」と言ってムメは慌てて立ち去った。 (そういえば、私は弟子なのにリェフの過去を全然知らないな。) そんなことをムメは初めて思い至ったのだった。
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