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「ええと、今日の師匠の運勢は恋愛関係でちょっと何か起きそうな感じですね。そ、それにどう対処するといいかと言うと、優しさとか、包容力が大事になってくる感じです。」
いきなり師匠であるリェフに「私の今日の運勢を占いなさい」と言われて、ムメは四苦八苦しながらどうにか占った。ムメはさっぱり自信なんてないし、そもそも師匠に占い方を教わったのが今日が初めだ。
暫し、魔女であるリェフは黙り込むと「へえ。」と言葉を発した。
ムメはびくりとした。
思わず、手元にある占いに使ったカードを見てしまう。
(うう、どうしよう見当外れだったら。
こ、こっちはど素人なんだから多めに見てほしい。
そもそも師匠は優しさとか包容力よりも、そのお綺麗なお顔を利用したり、強引さを発揮する方が得意そうだし…。)
ムメはぐるぐるとそんなことを考えた。
「あなた、この分野では才能がありそうね。勿論、師匠である私ほどではないけれど。」
「そ、そうですか?えへへへへ。」
ムメは嬉しくて顔が緩んでしまった。
短い付き合いだが気位の高いリェフからの精一杯の誉め言葉だとわかってしまったからだ。それに何より才能があるかもと言われたのが嬉しい。
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