3.恋をしている少女の襲来

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3.恋をしている少女の襲来

 ひと先ず、その素朴な少女は客間に通されて、ソファに座っていた。 その対面には不審そうな顔をしているリェフと、その後ろに控えているムメがいた。 「私の名前はディエリーと申します。神様の持っている最も価値のある宝石のような美しさだと称えられているリェフ様に依頼したいことがあるんです。勿論、お礼は致しますから。」 「なにを依頼したいのかしら? 聞いてあげるから話しなさい。」 ほんの少し前のひどく警戒した様子が嘘のようにリェフは少しだけ上機嫌で聞いた。 このディエリーとか言う女の子に褒められたのが嬉しかったのかもしれない。なんとなく気が付いていたがリェフは他人にちやほやされるのが大好きだからとムメは思った。 「あの、私は好きな人がいるんですけれど…。それがとってもカッコいい男の人で、あ、これは惚れた欲目とかじゃなくて、魔女様と同じぐらいに顔も綺麗で…。」 それから暫くディエリーは自分が好きになった男の人がどれだけ素敵な男の人か熱弁した。曰く、銀色の髪がキレイだの、背が高いだの、紫の色をしている目が優しそうだの…。 リェフは初めは真面目に聞いていたが段々と飽きてきたようで、 「もういいわ。充分。あなたがその銀髪の男が好きなのはよく分かったわ。」 と言って遮った。 「しっかりと相性を占いたいなら、あなたと相手の男の生まれた時間と場所がわかった方がいいんだけれど、」そう続けたリェフの言葉を今度は依頼人の少女が遮った。
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