1.占い師の予言

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1.占い師の予言

「あら、あなたは今日はすごい幸運の日よ。今日の夜に自分に素直になれば、前から望んでいたことが恋愛以外の面では叶うわ。」 恰幅のいい女性の占い師はそう言った。 ここは占いのお店。お手頃のお値段で占いを楽しめると、近所の女子高生には大人気のお店だった。 友達と一緒に。あるいは一人でこのお店に通う女子高生は珍しくない。 武川ムメもそんな女子高生の一人だった。 「え、れ、恋愛はダメなんですか。」 「駄目ね。このままだと今回の人生では恋に縁がないかも知れないわ。」 ガーンとムメは大ショックを受けた。 ムメは友達に夢見がち過ぎると突っ込まれながらも、いつかイケメンの御曹司とかが本当の自分を見抜いてくれて、でろでろに溺愛してくれるなんて夢を見ていたのだ。 「あなたは前世でも男の人と縁がなかったからね。中々難しいのよ。それこそ、体当たりで何百人もの男の人に自分からアピールするぐらいじゃないと …。」 「わ、私のように陰キャでコミュ障な女にそんなことをしろと?」 無理だ。もう生涯独身でいようとムメは決心した。
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