第1話 俺が超えるべき存在はアイドルー海斗Side

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「海斗、またずれてる!」 「す、すみません」 「あと、ラスサビのステップも間違えてる! 間違えたまま練習してたら意味ないだろ!」 「は、はい……」 まずい、アレンジ前の振り付けから切り替えなきゃいけないのに。 振り付け師の先生から俺だけ怒られまくってる。 「モモセはもう完璧だ。海斗、お前……新人だからって気緩んでるんじゃないのか?」 「そんな事は……」 「Monopolize‼︎のメンバーになったからにはすぐに追いつく努力をしろ! いいな? 一番遅れてて出来てないんだからなっ」 「はい……」 一番遅れて出来てない……。 「さぁ、みんな! 今日もお疲れ様! 今日の夜ご飯はカレーだよっ」 「ハルヒのカレー好き」 「タダシすぐお代わりするからたくさん作ったよ! あ、ハルヒとモモセもたくさん食べておっきくなるんだよ」 「えー? 僕、太りたく無いしなぁ。ちっちゃくて細くて可愛いのが僕の売りだから」 「俺は少しで良いです。食欲無くて……」 ダンスで注意されまくったのを引きずって歌のレッスンも上手く行かなかった。 音は外すは声が出なくなるわで。 オーディションがとんとん拍子に上手く行ったからって油断してたのかもしれない。 「やっぱり神城匠はすげぇアイドルだな」 夕飯を終えると、俺は自室でJewer Star☆のライブ動画を観る。 国民的アイドルだったのに突然解散を発表してしまった伝説のアイドル・Jewer Star☆ 今の俺がアイドルの指針としているのはセンターでリーダーの神城匠だ。 「あっ! Jewer Star☆観てるんだ?」 「玲央……さん」 玲央がいきなり俺のスマホ画面を覗き込んできた。 「匠さんかっこいいよね! 昔はJewer Star☆がいたからね、うちの事務所。よくお世話になったよ」 そういえば美月が玲央は匠に憧れてるって言ってたな。
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