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「神城匠みたいなアイドルになりたいんです」
「あ、俺と一緒だね」
「でも……今日でよく分かりました。俺はまだまだだって。Monopolize‼︎のメンバーに相応しい自分にはなれてません」
「最初っから完璧目指す事無いよ。みーんな失敗を重ねて成長してきたんだ。俺だって出来ない事はあるし」
「あんたは天才型で努力しなくても何でもこなせるだろ……」
「そんな事無いよ。世間のイメージはそうみたいだけどね」
選ばれた以上はしっかりやらないと。
足を引っ張るのだけは嫌だ……。
天王寺玲央を超えるスーパーアイドルを目指すからにはこんな初歩の段階でつまずいてる場合じゃない。
皆が寝静まるのを確認すると、俺は深夜にリビングでダンスの練習を始める。
「ここでターン……っと」
うーん、やっぱりテンポがずれてる。
足も左右逆になりがちだし。
「何やってるんだ? 海斗」
「わわっ! た、タダシさん……」
「ダンスの練習か? こんな深夜に? 明日も学校なんじゃないのか?」
「そうですけど……休み時間と学校終わりのダンスレッスンだけじゃ足りなくて」
「振り付け師に言われた事気にしているのか?」
「ま、まぁ」
「あの振り付け師は厳しすぎる。ハルヒもたくさん怒られて泣いてたくらいだ」
「えっ! ハルヒさんが?」
「ああ。あの威圧的な教え方じゃ頭に入ってかないだろう。そうだな……海斗さえ良ければ俺が教える」
えっ! あのダンスリーダー・タダシさんが⁉︎
「ですが、タダシさんも明日仕事では?」
「明日は昼からだ。それに、Monopolize‼︎もデビュー当時はメンバー同士教え合ってダンスや歌のスキルを伸ばしたものだ。海斗だってメンバーなんだからもっと頼ってくれて良い」
「新メンバーなのに出来なすぎて呆れてないんですか?」
「練習生の段階踏まずいきなりデビューなんだ。それでもこうして追いつこうと頑張ってる後輩を見放すような事はしない」
タダシさん、やっぱかっこいい!
「ありがとうございます。教えて頂けますか?」
「もちろん。あ、歌に関してもし悩んだらハルヒに聞くと良い。ラップは龍馬だな」
「は、はい」
「若いんだからこれから伸びしろがあるんだよ、海斗には。最初っからくじけたりしないでな」
「頑張ります……」
タダシさんは頼りになる先輩だなぁ。
同室のただの変態アラサーとは大違いだ。
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