第1話 俺が超えるべき存在はアイドルー海斗Side

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タダシさんの教え方は優しく丁寧で、ダンスレッスンの時より振りがスムーズに頭に入っていく感覚がした。 「あの……ハルヒさん」 「おはよう。海斗! 何かな?」 「また俺のダンス動画上げて貰えませんか?」 翌朝になると、俺はハルヒさんにダンス動画の撮影を依頼した。 「良いよ! やる気満々だね?」 「人に見てもらうって意識したらもう少しダンス上手くなれるかもしれないから」 「ダンス、タダシに習い始めたんだもんね」 「はい。夜中に申し訳ないのですが」 「大丈夫。俺も海斗みたくタダシ付き合わせまくってダンス練した事あるし! どんどん頼りなー? お兄さん達を」 やっぱり先輩方頼もしいな。 「あ、ダンス動画上げる前に! 頼りなーい最年長リーダー起こしてきてくれる?」 「分かりました」 確かに最年長だけ頼りないな。 俺に対してやたら構ってくるし、やたら寝坊するし……。 「玲央さん、起きてください。朝です」 「もうちょっとー」 「天王寺玲央! 早く起きろ! 俺に手間かけさせんな!」 「はいっ! あっ、また海斗が起こしてくれたんだ」 「子供じゃねぇんだから目覚ましで起きろよ」 「何か言った?」 「何でもないです。さっさと支度してください」 「さっきまた夢で暴言吐かれた気が。海斗はそんな事言わないよね?」 「はい、俺はそんなガラ悪くないですよ? 先輩みーんな尊敬してますから」 「だよね!」 お前以外の先輩しか尊敬してないけどな。 「海斗ー、玲央起きた? ダンス動画撮るよ」 「はい、お願いします!」 「海斗、ダンス動画撮るの⁉︎ お兄さんも映って良い?」 「えっ? 普通に邪魔なんですけど」 「海斗、やっぱ俺に塩だよね⁉︎」 「気のせいでは?」 いきなり天王寺玲央を超えるスーパーアイドルにはなれない。 今はただ努力するのみだ。 何年かはかかるかもしれないけど俺は絶対絶対天王寺玲央以上のスーパーアイドルになる! そしていつか引退した時に美月にプロポーズ! そういえば俺だけまだちゃんとした担当決まってないな。 モモセで言うあざとかわいい担当みたいな。 ハルヒさんは元気担当、タダシさんはクール担当、龍馬さんはセクシー担当、玲央は王子担当。 俺が目指すべきアイドルは……? 神城匠みたいになりたいとは言ったけどまだあそこまでオーラ出せないしなぁ。
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