第1話 俺が超えるべき存在はアイドルー海斗Side

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「じゃあ、次は海斗! 自己紹介してくれるかなー?」 「はい、愛月海斗です。えっと歌やダンスの経験は無くて……中学までは陸上部でした」 「えっ! じゃあ足速いの?」 「まあ、常人よりは……」 俺大丈夫か? 一期生の全員すげぇオーラあるし、同期のモモセも配信者なだけあってもうアイドル力がある。 俺、地味では⁉︎ 「とりあえず、みんなで寮行こっかー!」 「部屋割りと寮の設備を案内する」 天王寺玲央はリーダーだけど仕切るのはハルヒさんなんだな。 「とりあえずうちのグループは二人一部屋で分けられてるんだよね。二人が入寮するまでは俺とタダシ、玲央と龍馬って部屋割りだったんだけど……」 「社長の方針で新人同士じゃなくて部屋割りは先輩後輩にした方が良いとなった。モモセは龍馬と、海斗は玲央と同室だ」 えっ! 天敵と同室⁉︎ 「俺とタダシは結局同室のままだね」 「ハルヒと同室が良かったから代わらなくて良かった」 まずい。 天王寺玲央を超えるためにアイドルになったって言ったのバレたから気まずい! 「えー! 僕、海斗と一緒が良かったぁ」 「おい、モモセ。龍馬様じゃ不満か?」 美月にバレたらすげー追求されそう、玲央の事。 「海斗、部屋案内するよ」 「は、はい」 玲央の案内で部屋へ。 寮の部屋割りってずっと変わらないのかな。 「左半分は俺が使っているから右半分は海斗が使ってね」 「あ、はい。よろしくお願いします」 「やっぱり……」 「はい?」 「生の海斗、オーディションの動画見た時の百倍可愛い……」 「か、か、可愛い⁉︎」 あれ、俺生意気な後輩だって無視されたり注意されたりするもんかと。 「明日からは俺が起こしてあげる。あ、俺が夜ご飯の当番の時は好きなの作ってあげるよ。いっぱいいっぱいお兄さんに甘えて良いからね」 これが素の天王寺玲央……? 「怒ってないんすか? 俺、オーディションで生意気な発言してますけど」 なんなら天王寺玲央を敵視してると捉えられかねない。 「えっ! 可愛いなって思ったけど」 「は?」 「やる気に満ち溢れてる子って事でしょ」 いや、本当の志望動機最低なんだけど。 「は、はぁ」 「まぁ、俺の事は生き別れて再会した兄と思って良いからね」 「何でだよっ⁉︎」 俺は天王寺玲央に何故か最初から気に入られていたのだった。 何でこうなるんだ!!
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