第1話 俺が超えるべき存在はアイドルー海斗Side

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「じゃあ、次は海斗! よろしくね」 「海斗、玲央お兄さんが応援してるからね」 「えっ、何でペンライト持ってるんすか?」 「まだ門外不出のペンライトだよ! リーダーの権限で先にゲットしたよ。新メンバー二人のメンカラー追加されたやつ」 「ちょっと玲央! リーダーだからってずるくなーい?」 そういやこいつリーダーだった。 ハルヒさんがやたら仕切るからすっかり忘れてた。 アイドルあるある、リーダーがリーダーらしくない。 「海斗のメンカラーに光らせたペンライトを初めて振るヲタクが俺」 何で俺、天敵にペンライト振られながら踊らなきゃいけないの? 「ちょっと玲央さん! モモセの時も振ってくださいよぉ」 「ごめんね、忘れてたんだよね」 「じゃあ、海斗。気を取り直して! あ、何を踊るのかな?」 「Monopolize‼︎のアイドルなんか好きにならないはずだったのに……で」 「うんうん、オーディションでも踊ってたもんねっ。これから海斗も踊る曲だし、良いんじゃないかな」 とはいえ、ダンス激うま5人に見られながら踊るのってきつ。 正直オーディションよりプレッシャーだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー アイドルなんか好きにならないはずだったのに 落ちてしまった あの日から 君の沼に 君なんか好きじゃないって言い聞かせても どんどん引き寄せられていく あの瞳に ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 考えてみたらふざけた歌詞だ。 この曲はMonopolize‼︎の中でも簡単な方の振りだし、いきなり難しい曲をやる勇気は俺には無かった。 「うん、オッケー! 良い感じじゃないかな」 「海斗、お疲れ様! 海斗の沼に無事ハマったよ、俺」 「どうも……」 モモセの時と違ってあまり反応がない? やっぱり高難度の求められてたのか? 天王寺玲央を超えるって言ったのに大した事ないって? 「ハルヒ! 俺も踊りたくなっちゃった」 「じゃあ、ついでに玲央の動画上げよっか!」 「うん」 玲央が踊り始めた瞬間、空気が一変した。 やたらセンターを任されるのも納得出来るくらい、ダンススキルが異常に高かった。 モモセも上手かったけど、玲央はもっと超越したところにいた。 そうだよな、美月がずっと好きでいるくらい魅力的なアイドルなんだもんな。
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