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「どうかな? 海斗」
ダンス動画を撮り終えると、すぐに玲央は俺に声をかけてきた。
「センターの男って感じだなって思いました」
情け無いな。
天王寺玲央を超えるって大口叩いたくせに全然敵わないという現実を叩きつけられた。
絶対的エースの座は簡単には奪えない。
この男はアイドルになるべく生まれたような男だ。
『モモセたん可愛いー! 配信者突然やめた時はどうしようって思ってたけどまた推せて幸せ』
『モモセくんは上手いけど、もう一人の子はダンスそんな上手くなくない?』
『6人のMonopolize‼︎なんてMonopolize‼︎
じゃない。2人の新メンバーいらない』
『新メンバーの海斗ってフツメンじゃね? 玲央よりずっとブサ』
動画投稿後、SNSや配信サイトのコメント欄は大いに荒れた。
要らない……か。
「なぁ、モモセは気にならない? コメントの内容」
「別に。配信者時代から誹謗中傷とかあったし、こうなる事は最初から分かってたでしょ?」
「でも、6人になった事で担降りしちゃうファンとかさ」
「決めたのは事務所でしょ。別に人数変わらなくても担降りするファンはいるんだから」
モモセは全く気にしていない様子だ。
モモセはともかく特別なスキルが無い俺が何で
Monopolize‼︎のメンバーにされたんだろう。
手違いがあったとしか。
「んー……海斗尊い……」
「玲央さん、朝です。起きてください」
「まだやだぁ」
「俺を起こすつってた奴が爆睡してんじゃねぇよ! 起きろっ! 天王寺玲央!」
「はいぃ! あれ? 海斗?」
翌朝、俺の朝一番の仕事は玲央を起こす事だった。
「俺、学校行くんで」
「あ、俺の母校の制服ー! 海斗可愛いーっ」
「早く飯食って支度してとっとと出てください。朝から仕事詰まってるとタダシさんから聞きました」
「ねぇ、海斗。海斗が俺を怒鳴ってる夢を見た気がするんだけど」
「気のせいじゃないすか?」
「だ、だよねー」
つい怒鳴ってしまった。
日頃から抱えてた敵意が漏れ出てしまう。
美月とは学校違くなったし、来るメッセージは玲央についてばっかだ。
俺に推し変させるには長年かかりそうだ。
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