みんな、均衡を崩さないでくれ

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「ねぇ。今日泊まってっていい?」 早くもアルコールがまわってきたのか、上気したようなほんのりと赤く染まる頬。 甘えたような声でもたれかかってきた。 返事の代わりに彼女のふっくらした唇をふさぐ。 俺の背中に周る彼女の細い腕に逆らうこともせず、彼女の上に倒れ込む。 戸籍上は兄妹だけど。 彼女は父の再婚相手の連れ子だ。 血の繋がりは無い。 俺が何人も股掛けしてるのを知って、最初は冷やかしのつもりだったのだろうけど。 何かの拍子に俺たちは関係を持ってしまった。 最近、俺の部屋にやってくる頻度も高くなってきた。 割り切った楽な関係だと俺は思っているけど、彼女がいつ本気にならないとも限らない。 均衡は崩さないでほしいんだよなぁ。 あらわになった彼女の柔肌を撫で、舌を這わせながらも、頭の片隅で俺は、彼女を遠ざける手段をぼんやりと模索し始める。 パンドラの箱ぐらいじゃ、びくともしなそうだよな……。
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