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「あれ? 出てないけど今イッた?」
「す、すみませ……気持ちよすぎて……っ、も、もう誠人さんの、挿れてください……太くて硬いので俺の奥までグチャグチャにして……っ! たくさん擦って、イカせてほしいです……」
もう霧咲が根元を押さえていないのに、ドライでイッた榛名が身体を小刻みに震わせながら涙ながらに訴えると、霧咲はと息を飲んで耐えたあと。
「やれやれ、仕方ないなぁ」
渋々といった体で──本当は鼻血が出そうなくらい興奮していたが、余裕そうな表情を保ち──コンドームを素早く装着した。
そして霧咲をウットリとした目で見つめている榛名の腰を掴むと、痛いくらい勃起している先端を蕩けた秘孔に埋め込み、一気に奥まで挿入した。
「はあぁっ! あ、すごい、熱い……ッ! あぁ~……っ」
「挿れただけでイキそうだ……暁哉、動くぞ」
律儀に宣言したあと、霧咲は初めからやや激しめに腰を揺らし始めた。
気を抜くとすぐにイッてしまいそうなのだが、榛名の『激しめで』というリクエストに応えるためだ。
「まことさ、あ、ぁアッ! ンン~~ッッ! き、キスして……っ! 声、我慢できな……ッ」
もうぐっすり寝ている(だろう)とはいえ、あまりに大きな声をあげると亜衣乃が起きる可能性がある。
榛名は必死に声を我慢しながら舌を出し、キスをねだった。
「……ッ!」
そのあまりの妖艶さに霧咲は目を血走らせながら榛名の舌に吸い付くと、声ごと飲み込むような激しいキスで口を塞いだ。
「ハァッ、暁哉、あきちか……っ!」
「まことさん、誠人さ……っ! あ、あンン……っ!」
二人はジュルジュルと音を立ててみだらに舌を絡ませあい、唾液を交換し続けた。
霧咲は榛名のナカに何度も自身を擦り付けるように腰を激しく打ち付ける。出し入れをする度に榛名のナカはいやらしくうねり、霧咲を逃がすまいと締め付けた。
「あ、あ、ああ……!」
バカみたいに気持ちよくて、榛名は頭がクラクラした。
「はあ、暁哉、暁哉……ッ!」
霧咲も同じだった。自分が強くナカを攻めるたびに甘イキを繰り返している恋人が今日もいやらしくて最高に可愛い、と思う。
「ァ、ァアッ! も、イク……っ! まことさ、好き、すき……っ!」
「ハァッ、俺も愛してる、暁哉……っ!!」
榛名が達した間の激しい締めつけに耐えきれず、霧咲もゴム越しに榛名のナカに思い切り放った。
*
「えっと……ヨかった?」
「は、はい……すごくヨかったです。ありがとうございました……」
榛名が恥ずかしそうにそう言うと、霧咲も「こちらこそ」と言いながら、榛名の頭を優しく撫でながら満足げに微笑んだ。
「シャワーを浴びてから寝る?」
「ううん、今日はもうこのまま寝たいです。……ダメですか?」
「いいよ、シーツは明日洗濯しよう。じゃあ下に敷くバスタオルと濡れタオルを持ってくるよ」
「ありがとうございます……」
「ゆっくり腰を休めてて」
霧咲は、恥ずかしがって布団から顔を半分しか出さない恋人の額にチュッとキスを落とすと、浴室にタオル類を取りに行った。
シーツの上にバスタオルを敷き、霧咲が暖かい濡れタオルで榛名の汚れた箇所を丁寧に拭いて。
寝る準備が整った二人は、仲良くベッドに並んで寝転んだ。
アラームをセットしたあと、霧咲が榛名に言った。
「暁哉、俺と亜衣乃と一緒に住んでくれて本当にありがとう」
もう何度も言われた言葉をまたしみじみと言われて、榛名は目を丸くした。
「な、なんですか? 初日にもめちゃくちゃ言ってもらいましたし、そもそも俺も望んだことなのでお礼を言われることでも無いんですけど……」
「何度だって言いたいんだ、本当に嬉しいから。君と同じ家に帰って来られることがね」
「そんなの俺だって同じです、今日はちょっと職場で嫌なことがあったから、早く家に帰りたいって仕事中ずっと思ってました。普段はそんなこと思わないのに、早く帰って誠人さんと亜衣乃ちゃんに会いたいなぁって」
霧咲は榛名を抱きしめると、全身で喜びを表現した。
「暁哉、本当に嬉しいよ。俺の気持ちはちゃんと伝わってるのかな? 本当の本当に嬉しいんだよ?」
「伝わってますよ、俺も同じですから」
苦しいくらい抱きしめて、こどものように嬉しいと言う霧咲に、榛名はクスクスと笑った。霧咲がこんなにストレートに感情を言葉にするのは珍しくて、愛しさが増す。
「俺はもう、君とは結婚したつもりでいるから。俺と亜衣乃と三人で、少しずつ本物の家族になっていこう。別に父親とか母親とかいうポジションに拘らなくてもいいんだ、ひとつの共同体だと思えばいい。俺は戸籍上は亜衣乃の養父になったけど、相変わらずおじさん呼びだしね」
「そうですね」
「うん、だからもし君が誰かに亜衣乃の何だと聞かれたときは、普通に保護者だと答えればいい。言いたくないことは言わなくていいんだよ、外野なんて関係ないんだから」
霧咲は、榛名がまた自分のポジションについて悩んでいたことになんとなく気付いていたらしい。
「はい、ありがとうございます」
「礼なんかいいよ」
「……誠人さん」
「うん?」
榛名は手を伸ばして霧咲から少し距離を取ると、霧咲の切れ長で形の綺麗な目をまっすぐに見つめながら言った。
「貴方が好きです、大好きです。本当に好き、誰よりも愛してます。……俺の気持ちも、ちゃんと伝わってますか?」
「……っ、俺も愛してる、暁哉!!」
「声でかっ」
霧咲の良すぎる反応に、榛名は思わず声に出して笑った。
心も身体も最高に癒されたので、明日からまた笑顔で仕事に行けるだろう。明日は遅番だから、日勤の崎本と関わることはほぼないはずだ。
そう思うと、少し気が楽になった。
「おやすみなさい、誠人さん」
「おやすみ、暁哉」
霧咲の逞しい胸に抱かれ、世界一安心できるこの場所で、榛名はしあわせな気持ちでそっと目を閉じた。
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