王道編入生

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side:北優作  ギシッ、微かに聞こえた、ベッドの悲鳴で目が覚め、下腹部辺りの重さに、まぶたをこじ開けると、人工的な黒と目が合った。 零「おはよ、ユウサク」  ♡マークが付きそうなほど、甘ったるい声。甘ったるいけど、嫌いじゃない甘さ。人形のような完璧な配置の顔に、ニコニコとした笑みと真顔以外を載せることが出来るのは自分だけなのだと、優越感が湧いてくる。 優「..................」 零「?ユウサク?はっはーん、ユウサクくんには王子様のキスをしないと起きることの出来ない呪いが掛かっているのですねー(笑)」  チュッ、軽いリップ音が響く。触れるだけのキス。王子様。世間一般的に見れば、まあ、そうなのかもしれないが、俺からしてみれば、ただの可愛いネコちゃんだ。 優「......俺が白雪姫か」 零「あれ、知ってた?」 優「お前は俺を何だと思ってる......」 零「人に拘束具つけて、ヤバめの薬打ってくるサイコパス」  反論が出来ない。確かに、嫌がる零に拘束具を付けて、抵抗出来なくした後、うちで創ったちょっと効き目の強い()媚薬を打った。だけど、零の場合、自身も楽しんでたし、こいつの嫌よ嫌よはそうではないことを俺は知っている。善がってたんだからいいだろ、別に......お前も俺にやるし。 優「あー、取り敢えずよけろ」 零「はーい」  そう言って、零は俺の上から降り、カーテンを開けた。北向きの、丁度良い部屋。本来、保健委員長と図書委員長の俺たちは一人部屋だが、零が無理や、いや零のお願いで俺の部屋で生活している。  黒いエプロンを着け、少し長い襟足を尻尾のように結んでいる後ろ姿は、そそられるものがある。最近、あの黒マリモのせいでご無沙汰だったから。  あー、思い出したら腹が立ってきた。あいつのせいで、怪我をしたり、精神的に参った生徒が保健を頼ってくる。怪我はまだいい。保険医の室田先生に任せて、カルテだけ資料化すればいい。だが、精神的なものは、まず風紀委員の三年がカウンセリングの後、資料化。そして、それを学園御用達の精神科に送り、専門の精神科医を探して貰う。時間調節などを委員長がした後、担任と担当の先生に相談。そしてやっと、その精神科医とのカウンセリングた。何かと保健の出番が多い。委員も疲れ気味だが、こちらは疲労困憊。この学園の基本は生徒にやらせる主義はどうにかしていただきたいものだ...... 零「じゃあ、朝ご飯出来てるからー、」 優「......あぁ、」  ガチャ、黒塗りの扉が閉まる。はぁ、今日は、新入生歓迎会だ。問題は、今日であって今までではない。  学年ごとに色が違うネクタイをしめ、靴を履く。ここからは、保健委員長の北優作と図書委員長の渡利零だ。
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