王道編入生

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side:花京泉  ~~♪~~~♪  枕元に、置いとったスマートフォン鳴る。どうも、あの人工的な音には慣れんで、着信音やらはおにいの琴の演奏にしてる。  今日は、新歓の日で零くんには少し変わったこと頼まれとった。  ー金木薺の取り巻き、爽馬翠と公神大雅を呼び出して。どないなやり方でも構わへん。少しだけ、逆らえのうして、首輪を付けてくれー  友達ながら、怖いこと言う。本格的に、潰しに来おった。零くんの家にも、零くんにも恩があるし、わしも腹立っとったさかい素直に頼みを聞く。零くんが、わしを選んだちゅうことは、わしが最適やったんやろう。  電話の相手は、治人くんやった。この学校で、理事以外で唯一生徒会長と渡り合える権力を持った風紀委員長。実際には、一般生徒と生徒会がそう思てるだけで零クンの方圧倒してるんやけど...... 泉「はいはい、どないしたん?」 治「あぁ、治人だ。起こしてしまってすまない」 泉「別にええで。目覚まし時計かけ忘れとったさかい、逆に感謝しとる」  目ぇ擦りながら、スライドして通話を開始する。もちろん、嘘。聞こえてきたのが、余りにもガサガサ声やったさかい何とのうの気遣い。 治「あー、そうか、ありがとう......でだな、今日のことなんだが......」 泉「うん?」  妙に言い淀む治人くんに、悪い予感がする。 治「鬼予定だった役職持ちが、全員市民に、なった」 泉「はぁ?」  新歓は、例年通り校舎全体を使うた鬼ごっこやった。役職持ちも、例年通り鬼の予定やった。役職持ちは、人気な生徒多いため、鬼にしいひんと色々と問題起こるさかい。流石に、学園側も権力者の多い役職持ちに強姦やらの危害を加えとうはあらへんさかい。 泉「嘘やん(笑)そんなん、どうぞ狙うとぉくれやすて言うてるようなもんやん」  高身長の多い委員長達やけど、ほんでも、腹の立つほどお綺麗な顔をしてるため、組み敷いてぐちゃぐちゃにしたいと考える輩も多い。 治「で、......賞品も変わった」 泉「何に?」  いつもなら、鬼側には上位五名だけに捕まえた市民の中で一人指名し、一日デート券与えられる。市民側には、逃げ残った生徒だけに役職持ちの誰かを指名し、一日デート券与えられるんやけど。それに何の変更? 治「あー、両側が、一日デート券ではなく、何でも言うことを聞かせられる券になった」 泉「え?なんて?それ、絶対あかんやつやん」 治「..................」  それって、そないな行為をさせとぉくれやすー、なんて言われたら、逆らえへんってことやん?終わったわー...... 泉「まあ、ええわ......零くんが止めへんかったってことはそんなんやろう?なら気にせんでよろしおすやろ。ちゅうか、なんで、僕に?」 治「お前が1番危ないから」 泉「..................」  確かに、女みたいな顔や言われるけど......僕、一応空手黒帯なんやで......? 治「あー、じゃあ、そういうことで」 泉「あ、ちょ、」  プツッ  一方的に通話を切られた。なんや......そう呟きながらベッドを出る。役職持ちはええ。一人部屋やさかい、同室者を気にすることもあらへん。まあ、その役職のせいで大変なことになりそうなんやけど......  寝室のドアを開け、キッチンに向かう。冷蔵庫を開けて、卵と納豆、小ネギ、鮭を出す。あー、みそ汁はめんどいさかいインスタントでええか......IHのコンロは、火災の心配はあらへんけど炙ったり出来ひんのが傷やなぁ、なんて思いながら、甘い卵焼きをつくる。市販のでもええけど、自分でつくったほうが程よい甘さでうまい。少しじゃまくさいが......  お湯を沸かしてるあいさに、小ネギをこもう切り、納豆に入れる。揚げ玉を入れてもええけど、今日は、気分とちがうさかいやめた。小さめの丸テーブルの前に座り、一人呟く。 泉「いただきます」  一人部屋の唯一のデメリット。食事が寂しい。なんて言うたら、皆には笑われるやろうけど......
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