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 だから、指とはくらべものにならない熱がねじ込まれたときも、痛みより安堵が勝った。 「あ、あ……」 「きつ……」  額に汗を浮かべ、じれったいほどゆっくり腰を進める水岡がかわいそうでかわいくて愛おしくて、陽はできる限り深く息を吸い、普段意識していない筋肉をゆるめようと努力した。  なのに、水岡がふいに身体を曲げて胸に吸い付いてきたりするから、つかみかけた身体の手綱を取り落としてしまう。 「ん……ふ、んん」  分厚い舌で押し付けるように乳首をねぶられ、とんでもない声が出そうで慌てて口を押さえた。とがめるように歯でこすられる。  火であぶられるような性感はそのまま腹を下って下腹部に溜まり続け、いつの間にか萎えていた性器がしなり始めていた。そのことに気づいたらしい水岡が、胸の頂を吸い上げるのと同時に陽の熱を擦り上げるものだからたまらない。  ようやく全長がはいったころには、二人とも汗だくになっていた。  大仕事を終えたようなため息が重なって、思わず顔を見合わせる。おかしくて笑うと、きゅっと中の熱を締め付けてしまって、つながった所から甘い痺れが広がるから困った。 「っ、笑わないでくださいよ」 「ごめん、だってさ」 「出ちゃったらどうするんですか」  ふー、と慎重に息を吐く水岡がかわいくてたまらない。陽はだるい両足を動かして、股の間に押し付けられた腰を抱き込む。 「何度でも出してよ」  どちらかが、あるいは両方が音を上げて眠るまで。何度でも、二人で。もしかしたら、眠りに落ちた夢の先でも。  引いては寄せる熱を、同じだけの熱で受け止める。  くらくらするほど果てのない交歓を繰り返していよう。  そうして夜を乗り越えて、一緒に朝を迎えたい。  何度でも。  半透明のベールが滑り落ちるように目が覚めた。  遮光カーテンの縁が淡く白く光っている。  サラサラのシーツのつめたさと、しっとりと熱をもつ人肌の感触。  同じ速度で脈打つ鼓動は、まだ眠りの向こうにある。そのことにほっとする。長い夜は去って、昼が始まる。それを少しだけ残念に思えることが、うれしい。  ちいさく震えるまぶたが開く瞬間を待っている。
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