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不意に耳元で起きた爆音に驚き、窓を見ると、風向きが変わったのか、暗闇の中から無数の雨がガラスを叩いていた。
台風でもない、突発的な暴風雨の音は、ナーバスになっている奏恵の心をかき乱す。
気を紛らわすようにアプリを開くが、着信は無い。
『ねぇ、返事くらいしてよ。何が気に食わないの? フったことをまだ怒っているの? 昔のことをいつまでも引きずられても、こっちが困るんだけど』
送信するが、前回のメッセージすら読まれた形跡はない。
彼と最後に会ったのは、高谷と出会うよりさらに一週間ほど前だ。
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