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「彩ー劇のやつ聞いた?」
「なにが?」
「なんか脚本家募集するらしいよ」
「え?そう、なんだ…でも私文実だからできないや」
「それがね、脚本家は文実でもしていいって」
「でも文実はクラスとか学年のやつに関わっちゃだめだって言われてるはず」
「うん、そうなんだけど脚本家は別みたい」
「なんで?」
「わかんないけど多分当日劇に出なきゃいけないとかがないからじゃない?準備に参加しなきゃいけないわけでもないし」
「あー確かに」
「やってみたら?彩、本読むの好きだし適任なんじゃない?」
確かに本は大好きだ
趣味は何?って聞かれると必ず読書って答えるぐらい
でも読むのと書くのは全然違う
いくらたくさん本を読んでいるからっていい文章が書けるとは到底思えない
でも、でも、脚本家になったら水野と関わることができる
ほんの少しだけかもしれないけど話すこともできるかもしれない
舞台に出れなくても、衣装や小道具の準備を手伝えなくても、
時々顔を出したりする権利は当然生まれるはず
その時に「おつかれ」って言うのは不自然じゃないと思うから
自然な感じで水野に話しかけられる
このままだと去年と同じように1年が何の進展もなしに終わってしまう
私は一歩を踏み出せるだろうか
「美花、私頑張ってみる」
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