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「ようし、今日はおまえらで最後にするか!」
野盗だ。
(こんなときに!)
どうしてこんな奴らが、騎士団が通りすぎたあとにいるのだろう。
脛に疵持つならず者なら、騎士団に恐れをなして遠くまで逃げているだろうに――。
(まさか――)
パヴァルの顔がまたちらついた。
野盗がじろじろ見てくる。
「妙な奴らだと思ったら、犬獣人と女かよ? まあいいや、その荷物を置いてきな!」
荷物、といえば入城の旗頭を入れた平箱しかない。
ロレッタは反射的に、平箱を片手で抱いた。
それがよけいに野盗を刺激してしまった。
「お、なかなか大事なものらしいな? じゃあさっさと渡しな!」
ロレッタがすばやく目配せすると同時に、ドゥとセジが短剣を抜いて野盗の足もとへと走りこんだ。
自分は馬の腹を蹴りながら、ロレッタは彼らに叫んだ。
「支部で合流だ!」
たかが野盗三人に苦戦するような彼らではない。
それでも感情が止めどなく高ぶる。
なんだか泣きそうになって、ロレッタは唇をきつく噛みしめた。
(絶対に、絶対に許さない!!)
パヴァルを呪う。
ロレッタを見下しきっている彼のことだ。
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