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(やっぱり――)
推測が確信に変わる。
ロレッタは笑みを浮かべた。
「そうだな、貴公はわたしを陥れて、ひとり恥をかかせるつもりで一芝居うったのだからな」
「ん? なんのことだ?」
パヴァルはにやにや笑ってしらばっくれた。
彼の今回のいやがらせは、念が入っていた。
シルディスは、そもそも旗頭を忘れてなどいなかった。
パヴァルは単に、ロレッタが早とちりをして本来の任務を放り出したという失敗へと誘導しただけだった。
そのことに気づいたロレッタが焦り、困り、怒ったところを思い浮かべて、大笑いしていたのだろう。
だからこれ以上彼を楽しませてやるつもりはない。
「礼を言う。貴公のいやがらせのおかげで、わたしはまた学ぶことができた」
慰めと癒やしはいくらでも犬獣士小隊の部下たちがくれる。
だからロレッタはパヴァルやその他の敵に立ち向かい、そして成長できる。
(必要なものは自分で勝ち取るべき。いい教えだったわよ、パヴァル!)
ロレッタは、笑いながらも視線は真剣にパヴァルを見つめた。
「だが、平箱を奪おうとした野盗まで現れたときは、どうしようかと思ったぞ」
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