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華奢だが、俊敏な脚と抜群の聴覚を持ち諜報活動に長けた、狐獣士小隊。
――そして、現在ロレッタが率いる犬獣士小隊。
編成当初は他小隊同様に人間並みの身長で、狼獣士小隊と呼ばれていたそうなのだが、なぜか次第に小型化していったとのことで、ついにはいまの名となった。
つい撫でまくりたくなるくらい愛くるしいことにかけては、どこに出しても恥ずかしくないのだが。
(……でも、そこは獣士小隊としての評価点にはならないのよね……)
ロレッタは内心ぼやきかけ、だめだめとすぐ頭を振った。
彼らはみんな自分の大事な、かわいい部下だ。
女であることも成り上がり家系であることもまるで気にせず、ロレッタの指揮にきちんとついてきてくれる。
「よし! では、本日よりネセネ街道を巡検する。出発!」
「はいっ!」
ロレッタは馬にまたがった。
馬の足もとには、副長を務める犬獣士ヴィエナがついた。
犬獣士小隊のおもな任務は、脇街道警備だ。
ならず者も滅多に出ない、のどかな村落を結ぶのんきな道を数日かけて見回るこの任務を、
「お嬢ちゃまのお散歩遊び」
と他の騎士たちから揶揄されていることは知っている。
(でも、シルディス団長はおっしゃったもの!)
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