わんこ小隊女隊長と騎士団長の忘れ物

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 シルディスより遅れること数時間、国王のお召しとあって騎士団は急行軍で進んでいるはずだ。  余裕はない。  ロレッタは馬を駆り、五人の犬獣士たちも付き従ってひた走る。 「みんな、頑張れ! シルディス団長の王都到着前に合流しなくてはならないんだ!」  彼らを励ましながら、ロレッタはめまぐるしく考えた。  どこで息を入れさせるか、どこでどれだけ休憩を取るか。  選択を誤ったら最後、騎士団の王都到着前に入城の旗頭を届けることに失敗し、シルディスに恥をかかせることになってしまう。  幸い、脇街道巡検のために地図は頭に叩きこんである。  休憩地とした街道沿いの村で、ロレッタは村人から話を聞き、休ませた五人の犬獣士のもとへ行った。 「村の人に聞いたところ、シルディス団長たちはずいぶん前に通りすぎたそうだ。もう少し急いだほうがよさそうだから、本街道からそれてルスカ街道を行こう」  次期副長候補のトイがうなずいた。 「そうですね、騎士団本隊の大所帯では狭い脇街道は選ばないでしょうから、そちらを行けばかなり時間節約になると思います」  明るいセジがうんうんうなずき、おとなしいペキも大柄なケトも尻尾を振って同意を示す。  だが、トイの双子の兄のドゥが果物をかじりながら弟に言った。
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