忘れものを見つけた。コインロッカーの中で。

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 ネットカフェから出た私はコインロッカーに荷物を預けるために、駅へと向かった。  いつも利用している「3150」番のコインロッカー。「3150」番はなんとなく気分を少しでも持ち上げてくれそうな番号だから選んでいる。  ロッカーの扉を開けると一通の封筒が置いてあった。  このロッカー、そういえば他の人も使っているんだった。ほとんど私が独占して使っているから忘れていた。    誰の忘れものだろうか。    そんなことを考えながら、置きっぱなしになっていた長三サイズの茶封筒を手に取る。    封はされていないようだ。私は好奇心の赴くままに中に入っているものを取り出した。    これは……手紙のようだ。  忘れ物の手紙を勝手に読むのは気が引けるし、プライバシーの問題なんかで追及されるかもしれないという思惑はあったが、知的欲求には敵わなかった。
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