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「これ、いる?」
僕は近くの自動販売機で買ったお茶を彼女の方に差し出した。
「ありがとう」
「いえいえ。少しは落ち着いた?」
「うん。今は何ともない。腕が少し痛むくらい」
彼女はそう言いながら掴まれていた方の腕をもう一方の腕でさすっていた。
「もしよかったらなんだけど、あの状況のこと聞いてもいいかな?」
「いいけど、少し長くなるかも……」
彼女は自分のことを僕に話してくれた。いなくなった父親のこと、おかしくなってしまった母親のこと、今の生活状況も話してくれた。
さっきの人のうち片方は母親らしいが、男性の方は全く知らない人らしい。
彼女は話をするうちに涙を流していた。
自分の中で溜め込んでいたのか、相当無理をしていたのだろう。
辛かったんだろうな……。
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