忘れものを見つけた。コインロッカーの中で。

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 私は仕掛けておいたカメラの録画映像を確認した。  録画には……誰かがロッカーを開けた形跡は残っていなかった。データを削除された形跡もない。  しかし、封筒が増えている様子だけは映っていた。置いてあった封筒が二つに増えている。  誰かがロッカーの隙間から封筒を入れた様子もなかったが、確かに封筒が二つに増えている。  携帯に残しておいたバックアップも同じような映像だった。    なんだ……これ……不可解だ。  考えても分かりそうになかったので、私は次に封筒の中身を確認することにした。  二つの封筒にはコインロッカーの写真と二枚の手紙が入っていた。  コインロッカーには「3150」番の文字があり、私が使っていたものと酷似しているが、写真のものはかなり古くなっている。また、二枚の手紙の一方にはびっしりと文字が書いてあった。  もう一方には、ガタガタの線で、読めるか読めないか判別がつかない程の弱弱しい文字で 「しあわせだった」と記されていた。  これだけでは何が何だか分からなかったため、私はもう一方の手紙に目を通した。
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