忘れものを見つけた。コインロッカーの中で。

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―――  今まで、戸惑わせてしまって本当に済まなかった。もう既に分かっているかも知れないが、僕は出本陽太じゃない。  僕の名前は出本日向(いづもとひなた)。あなたの子供だ。  何を言っているかよくわからないかもしれないけど、それが事実なんだ。  これにはあのコインロッカーが関係してる。  詳しいことは分からないけど、あの「3150」番のコインロッカーは未来と過去で、ものをやり取りできるみたい。だから、僕はあなたがいる時間よりも先の未来から手紙を送っていたんだ。  信じられないと思うから、その証拠に「3150」番のコインロッカーの写真を送っておいた。そっちにあるものよりも時間が経っているから、古びているかもしれないと思った。  元から汚れていたら仕方ないけど、どうか僕が未来から手紙を送っていたと信じてほしい。  そもそも、どうしてこんなことをしたのかを記そうと思う。    僕は母に頼まれたんだ。 「私の残した手記を読んで欲しい。そして、もし可能なら日向にその通りに動いてほしい。私にとって、人生で一番大切な出来事が関係してるの」と。  父を早くに亡くした僕にとって、女手一つで育ててくれた母には感謝してもしきれないんだ。だから、病床で動けない母の願いを叶えてあげたかった。  正直、僕が送った手紙にどんな意図があったのかまでは知らない。  初めから、未来から手紙を送っていると伝えてあげられたらよかったんだけどね……よくないみたい。過去に起きたことと違うことをすると、違った未来になるらしい。  難しいことはよくわからないけどね。  それと、もう一枚の手紙は母からあなたへのメッセージだ。  一生懸命に力を振り絞って書いていたんだ。どうか受け取ってほしい。  未来から手紙を送ることができるのはこの手紙で最後になる。  それでは。 ―――
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