忘れものを見つけた。コインロッカーの中で。

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――  何かの偶然であなたがこの手紙を見つけていることを願っている。  あなたは近々、死にたいと考えていないだろうか?   あなたの力になりたい。  僕は出本陽太(いづもとようた)。  困っていることがあるなら、助けになりたい。 ――    本当にただの忘れものだろうか。    それにしては変な言い回しが使われているように感じる。偶然見つけていることを願っていますなんて書くだろうか。     この封筒は無作為に別のロッカーにも入れているのだろうか。新手の詐欺か、あるいは自殺予防対策の一環なのか。  私は気になって片っ端から近場のロッカーを開けてみた。しかし、封筒らしいものは他のロッカーには見当たらなかった。故意にこのコインロッカーの中にだけ封筒を残しているのだとしたら、かえって気味が悪い。  次第に腹が立ってきた。  もし、仮にわざとやっているのだとしたら、どうして見ず知らずの人間に私のことを心配されなくてはならないのだ。    この人物に私の何を解決できるというのだ。    私は怒りを発散するように、その手紙に「ふざけるな」という文字を残してその場を去った。
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