忘れものを見つけた。コインロッカーの中で。

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 私は出本陽太という人物が実在しているのかも分からなかったため、試しに連絡を取ってみた。  記されていたメールアドレスに端的な文章を打ち込む。 「君は出本陽太?」   正直、それほど期待していなかった。しかし、ものの一時間以内に返信が来た。   「そうですけど、あなたは誰ですか? どこで僕のことを知ったんですか?」  相手からも無機質な返事がきた。 「私のことはいい。これ、君が送ってきたんだよね?」  封筒と手紙の写真を出本に送った。 「これは何ですか?」 「手紙。君が書いたものでしょ?」  私はコインロッカーでこの封筒一式を見つけた事の経緯を説明した。 「こんなものを書いた覚えはありません。それにメールアドレスも……残した覚えはありません」  白を切っているのか、本当に知らないのか、どちらなのか。これ以上、連絡を取っても恐らく意味がない。平行線だ。  ただ、出本陽太という人物が実在していることが分かっただけだ。  私は次の手を打つことにした。
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