青空の下、手を振って。

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今日は特別な日。 だって、幼稚園で初めての運動会。 パパとママに、かっこいいとこ見せなくちゃ。 朝ごはんはしっかり食べたし、準備運動もちゃんとした。練習だってたくさんしてきた。それから… 「くふふ」 両手で口を押さえて、私は笑う。 さっきパパから教えてもらったのだ。「かけっこのコツ」を。 どうしよう。私、新幹線より早く走れちゃうかも。 ワクワクしながら自分の番が来るのを待っていた時だ。隣で三角座りしていたれなちゃんが、泣きそうな顔で言った。 「もう帰りたい。私、かけっこ苦手…」 私ははっとした。 そうだ、みんなにも教えてあげよう! だって先生いつも言ってるもん。 ももちゃん、独り占めはダメよって。 「ねえ、かけっこのコツ、教えてあげる」 一緒にスタートを待っているみんなに、私はこっそり囁いた。 「手をね、思いっきり振るのよ。そうしたら早く走れるんだって」 言いながら、私は手を振ってみせる。 「ほんと?やってみる!」 みんなの目がキラキラと輝き出した。 よーい、ピッ! スタートの合図に、私は張り切って走り出す。
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