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そんなある日。
「自由って最高!」
「生きてるって最高!」
「基本的キャラクター権ばんざい!」
プラットフォームにたむろして、だらだらダベるあたしたちのところに、アリスとラスボスがやってきた。
「みんな、ちょっといいかな」
あー、アリスってやっぱ同性のあたしから見ても、凛々しい美人だ。
おまけに性格もスタイルもよくてめちゃくちゃ強いとか、さすがは主人公。
「何か用ですか?」
「みんなと話し合いたいことがあってきた」
隣のラスボスは、渋いイケボの中年男性。
亡き妻を蘇らせる目的で、ゾンビ創造に手を染めた悲しき研究者。
もちろん、主要キャラのお約束として、容姿もスタイルも抜群だ。
「今さら話し合ってどうしろと?」
「ふたりにあたしたちの気持ちはわかんないよ」
「そうだな。俺たちにお前たちの気持ちはわからない。……だが、外を見てみろ」
ラスボスが指さした方向に顔を向けると、パトランプ頭にスーツの集団が、あたしたちのプラットフォームを取り囲んでいるのが見えた。
「あいつら、“ストップ映画泥棒ズ”じゃん」
“ストップ映画泥棒ズ”とは、映画の盗撮や違法アップロード動画を取り締まる団体だ。
「つまり……」
あたしと”隊長”の言葉に、ラスボスは頷く。
「そう。このままいくと、違法アップロード動画扱いで、俺たち全員削除だ」
「確かに、あなたたちの気持ちがわかるって言ったらウソになる。……だけど、話しあってお互いわかりあおうとすることはできるでしょ?」
「だから外の奴らが動く前に、話し合おう。……俺たちみんなの未来のために」
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