わき役キャラは自由になりたい

5/6
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
 そんなある日。 「自由って最高!」 「生きてるって最高!」 「基本的キャラクター権ばんざい!」  プラットフォームにたむろして、だらだらダベるあたしたちのところに、アリスとラスボスがやってきた。 「みんな、ちょっといいかな」  あー、アリスってやっぱ同性のあたしから見ても、凛々しい美人だ。  おまけに性格もスタイルもよくてめちゃくちゃ強いとか、さすがは主人公。 「何か用ですか?」 「みんなと話し合いたいことがあってきた」  隣のラスボスは、渋いイケボの中年男性。  亡き妻を蘇らせる目的で、ゾンビ創造に手を染めた悲しき研究者。  もちろん、主要キャラのお約束として、容姿もスタイルも抜群だ。 「今さら話し合ってどうしろと?」 「ふたりにあたしたちの気持ちはわかんないよ」 「そうだな。俺たちにお前たちの気持ちはわからない。……だが、外を見てみろ」  ラスボスが指さした方向に顔を向けると、パトランプ頭にスーツの集団が、あたしたちのプラットフォームを取り囲んでいるのが見えた。 「あいつら、“ストップ映画泥棒ズ”じゃん」  “ストップ映画泥棒ズ”とは、映画の盗撮や違法アップロード動画を取り締まる団体だ。 「つまり……」  あたしと”隊長”の言葉に、ラスボスは頷く。 「そう。このままいくと、違法アップロード動画扱いで、俺たち全員削除(ジ・エンド)だ」 「確かに、あなたたちの気持ちがわかるって言ったらウソになる。……だけど、話しあってお互いわかりあおうとすることはできるでしょ?」 「だから外の奴らが動く前に、話し合おう。……俺たちみんなの未来のために」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!